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家族行事の情報メディア「FamiTum」を企画からデプロイまで一気に作った話

家族向けの情報メディアを、企画の壁打ちからドメイン取得、HTTPS 化、CI/CD 構築まで、Claude Code と一緒に一気通貫で作りました。構想から本番公開まで、かかった時間は 1 日。この記事は、その一部始終の記録です。

「AI でサイトを作った」という話はもう珍しくありません。ただ、企画の妥当性を議論するところから始めて、デザイン、インフラ構築、デプロイ、HTTPS 対応、CI/CD まで一つの会話の中で完結させた経験は、まだそう多くないはずです。少なくとも私にとっては初めてのことでした。

「FamiTum」──家族の行事に寄り添う情報メディア

七五三って何歳でやるんだっけ。お食い初めの準備って何が必要なんだろう。出産祝い、何を贈れば喜ばれるのか。

日本には驚くほど多くの家族行事や通過儀礼がありますが、若い世代にとってその意味や段取りを調べるのは、意外と骨が折れます。情報はネット上に散在していて、体系的にまとまった場所がない。この課題を解決するために立ち上げたのが「FamiTum(ファミタム)」です。

事業モデルは 3 ステップで考えています。まずは記事メディアとアフィリエイトで収益の土台を作り、次に会員機能とユーザー投稿でプラットフォーム化、最終的には行事に紐づいた EC へ展開する。いきなり全部作るのではなく、段階的に育てていく方針です。

Claude Code に事業計画をぶつけてみた

最初にやったのは、Claude Code にプロジェクトのドキュメント一式を読ませて「これ、伸びると思う?」と率直に聞くことでした。

返ってきたのは、正直なフィードバックでした。「収益シミュレーションが楽観的すぎる」「競合が強いジャンルだ」「有料化の動機が弱い」──耳の痛い指摘が並びます。ただし、こちらが「過去にゲーム攻略サイトで月間 17 万 PV を達成した経験がある」「記事は 1,000 本規模を見込んでいる」「行事×プレゼントの切り口で攻める」と補足すると、評価が変わりました。

「行事プレゼント特化のコンテンツメディアとしては伸びると思う」──その言葉をもらったとき、方向性の確信が一段深まりました。AI に褒められたからではなく、具体的な反論に対して自分の戦略を言語化できた、そのプロセス自体に価値があったのです。

さらに、Google Drive に保存していた事業計画書も読み込ませて、ロードマップとの整合性を確認しました。収益シミュレーションの数字が事業計画書と乖離していることを指摘され、その場で修正。壁打ち相手としての Claude Code は、想像以上に優秀でした。

デザインの一新──「温かみ」を軸に

既存のフロントエンドは、Next.js のデフォルトに近い素朴な見た目でした。家族向けメディアとしての世界観がまったく伝わらない。そこで Claude Code に「トップページ、記事一覧、記事詳細のデザインを一新してほしい」と依頼しました。

指示はそれだけです。プロジェクトのドキュメントを読んでいる Claude Code は、サービスのコンセプトを理解した上で、オレンジ〜アンバー系の暖色を基調にしたデザインを提案してくれました。

トップページには、季節の行事を自動表示するセクションが加わりました。4 月に開けば「入学式」「お花見」が、12 月なら「クリスマス」「大晦日」が並ぶ。訪れるたびに旬の情報が目に入る設計です。ライフイベントの一覧──お宮参り、お食い初め、七五三、成人式──も、カード型のレイアウトで一望できるようになりました。

指示を出してからデザインが形になるまで、ものの数分。もちろん細かい調整は必要ですが、「叩き台」のレベルが高いので、こちらは方向性の判断に集中できます。

VPS 契約からデプロイまで、会話を止めずに

開発環境で動いたものを本番に出す。ここからが、今回いちばん驚いた体験でした。

「本番にデプロイしたい。VPS は ConoHa を考えている」と伝えると、Claude Code はプラン選定のアドバイスから始めてくれました。Docker イメージを選ぶこと、セキュリティグループで SSH を許可すること、1GB プランで始めて後からスケールアップできること。契約画面のスクリーンショットを見せながら「これでいい?」と聞くと、的確にフィードバックが返ってくる。

VPS が立ち上がった後は、SSH 接続、ファイル転送、Docker Compose による本番ビルド、Caddy のリバースプロキシ設定まで、すべて同じ会話の中で進みました。途中、node_modules(1.7GB)をそのまま転送しようとして詰まったり、API の URL がハードコードされていて本番で動かなかったり、いくつかのトラブルがありましたが、そのたびに Claude Code が原因を特定し、修正を入れてくれました。

最終的に http://133.117.77.246 でサイトが表示されたとき、「すごい、見れた!」と素直に声が出ました。

ドメイン設定と HTTPS 化──Caddy の威力

IP アドレスでの表示を確認した後、ドメインの設定に進みました。お名前.com で取得済みの famitum.com の A レコードを VPS の IP に向ける。この手順も、管理画面のスクリーンショットを見せながら「これで OK?」と確認しながら進めました。

HTTPS 化は、Caddy のおかげで拍子抜けするほど簡単でした。Caddyfile にドメイン名を書くだけで、Let’s Encrypt の証明書が自動的に取得されます。Nginx + certbot の時代に感じていた「SSL 対応の面倒くささ」が、完全に過去のものになっていました。

DNS が反映され、Caddy を再起動した数秒後、https://famitum.com にアクセスすると、鍵マーク付きでサイトが表示されました。

CI/CD──push したら自動でデプロイされる世界

手動デプロイを毎回やるのは現実的ではありません。GitHub Actions を使って、main ブランチへの push をトリガーに自動デプロイされる仕組みを構築しました。

SSH 鍵の生成、VPS への公開鍵登録、GitHub Secrets への秘密鍵保存、ワークフロー YAML の作成──これらの手順も、すべて Claude Code との会話の中で完結しています。途中、GitHub の Deploy Key が「1 つの鍵を複数リポジトリに使い回せない」という制約にぶつかりましたが、Personal Access Token に切り替えることですぐに解決しました。

こうしたインフラ周りの知識は、知っていれば数分で終わるけれど、知らなければ数時間ハマるタイプのものです。Claude Code は、その「知っている人」の役割を淡々と果たしてくれました。

1 日で何が完成したのか

振り返ると、この 1 日で以下のことが終わりました。

  • 事業計画の壁打ちと収益シミュレーションの修正
  • トップページ・記事一覧・記事詳細のデザイン一新
  • ファビコンの作成
  • ConoHa VPS の契約・セットアップ
  • Docker Compose による本番デプロイ
  • 独自ドメインの設定と HTTPS 化
  • GitHub Actions による CI/CD 構築
  • デプロイ手順のドキュメント作成

これだけの作業を一人でやろうとしたら、控えめに見積もっても 1 週間はかかるでしょう。インフラに不慣れであれば、VPS の設定だけで丸一日。HTTPS 対応と CI/CD で、さらにもう一日。それが、Claude Code との会話を続けるだけで、すべてが 1 日の中に収まりました。

AI と一緒に作るということ

今回の体験で強く感じたのは、Claude Code は「コードを書いてくれるツール」ではなく、「一緒にプロダクトを作る相棒」だということです。

事業計画に対して率直にフィードバックをくれる。デザインの意図を汲んで提案してくれる。デプロイで詰まったら原因を特定して直してくれる。VPS の契約画面を見せれば、どのボタンを押すべきか教えてくれる。一つの会話の中で、企画者・デザイナー・エンジニア・インフラエンジニアの役割を、文脈を保ったまま横断してくれる。

もちろん、最終的な判断はすべて人間の側にあります。事業の方向性を決めるのも、デザインの良し悪しを感じるのも、「この品質で世に出していいか」を見極めるのも、私自身です。AI が変えたのは、判断に至るまでの道のりの長さ。以前は調べて、試して、失敗して、直して、とやっていた行程が、会話の中で圧縮されていく感覚です。

おわりに

FamiTum はまだ始まったばかりです。記事コンテンツを充実させ、SEO で集客基盤を固めていくフェーズ。技術的な土台は整ったので、ここからは「良いコンテンツを作り、読者に届ける」という、地道な仕事に集中します。

この記事が、「AI を使ってサービスを立ち上げてみたい」と考えている方の参考になれば幸いです。大事なのは、AI に丸投げすることではなく、自分の判断軸を持った上で、AI を相棒として使うこと。道具は進化しても、「誰のために、何を作るのか」という問いに向き合うのは、いつも人間の側です。

FamiTum:https://famitum.com

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