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AI・技術トレンド

ChatGPT から Claude へ──Web 制作の現場が変わった 2026 年春

2026 年の春、AI を仕事道具として使う感覚が、半年前とは別物になりました。去年の秋まで当たり前だった手順が、気づけば全部書き換わっている。特に Web 制作の現場では、その変化の主役が ChatGPT から Claude に移ったと、私は確信しています。

この記事は、福岡で小さな Web 制作会社を営む一人の開発者が、日々コードと企画書に向き合う中で感じた「潮目の変化」についての率直なメモです。ベンチマーク比較ではなく、実戦の体感として読んでもらえたら嬉しいです。

なぜ今「Claude の時代」と感じるのか

結論から書きます。2026 年春の時点で、私のワークフローの中核は Claude(特に Claude Code と Claude Opus 4.6)に置き換わりました。理由は大きく 3 つあります。

1. 長い文脈を投げても、破綻しなくなった

コーポレートサイトのリニューアル案件では、既存の数十ファイルにわたる PHP テンプレートと CSS を読ませた上で、「デザイン言語を editorial modern に寄せたい」という抽象的な要件を渡すことがあります。少し前までは、長い文脈を渡すと途中で話が噛み合わなくなり、結局は部分ごとに切り出して会話する必要がありました。

Claude は、このサイズのコードベースを丸ごと読んだ上で、既存コードの癖や命名規則を踏まえた提案を返してくれます。「あなたが今まで書いてきたスタイルに合わせて書きますね」という態度が、初手から自然に成立する。この安心感は、実際に使ってみるまで想像がつきませんでした。

2. 指示を逸脱しない「職人の手」に近づいた

AI に仕事を頼むとき、いちばんストレスが溜まるのは「頼んでいない改修まで勝手にやってしまう」問題です。たとえば「このボタンの余白を修正して」とだけ頼んだのに、ついでに無関係な variable 名をリネームしていた、というような。

Claude は、少なくとも私が触っている範囲では、この余計な親切が目に見えて減りました。頼まれていない改善を勝手にしない、という基本的な信頼が成立したことで、差分レビューの負荷が一段下がり、結果として「任せられる範囲」が広がっています。

3. Claude Code という「作業する相棒」の存在

Claude Code は、ブラウザのチャット画面ではなく、自分のターミナルやエディタの中で動く Claude です。ファイルの読み書き、テストの実行、git の操作まで含めて、実際に手を動かしてくれる。チャットで「こうしてください」と言葉だけで渡していた時代と比べて、手戻りが劇的に減りました。

この「一緒に作業する」感覚は、従来の AI チャットとはまったく別物です。コードを読み、書き、動作確認までセットで回してくれるパートナーが、常に机の隣に座っているような働き方になりました。

ChatGPT から Claude Code に乗り換えた、本当の理由

誤解されないように書いておくと、私は ChatGPT を否定しているわけではありません。音声会話、画像生成、ブレインストーミング、リサーチ──これらの用途では今も日常的に使っています。

ただし「コードを書く」という一点では、半年前から体感がはっきり分かれました。ある日、いつものように ChatGPT に WordPress テーマのリファクタリングを頼んだとき、返ってきたコードが既存の関数名を微妙に書き換えていて、動作確認で 30 分溶かしたことがありました。その翌日、同じ作業を Claude Code に頼んだら、既存コードの作法を踏襲したまま、必要な変更だけが綺麗に入っていた。この差がずっと続くなら、主戦場は移しておいたほうがいい──そう判断したのが、乗り換えの実際のきっかけです。

合理性よりも、「この相棒のほうが、自分の仕事を荒らさない」という小さな安心感。その積み重ねが、最終的にワークフローを書き換えます。

Web 制作フローの、具体的な変化

実務の中で、どの工程がどう変わったのか。いくつか具体的に書いてみます。

設計フェーズ──要件整理の相棒

お客様からいただいたヒアリングメモを丸ごと渡し、「想定ユーザーごとに遷移を整理してほしい」「足りていない要件を 5 つ挙げてほしい」といった問いを投げると、こちらの整理を半歩先回りしてくれます。提案書のドラフトも、叩き台としてはもう十分な品質で返ってきます。

実装フェーズ──レビューしやすい単位で手を動かす

「この機能を 3 つのコミットに分けて実装して」と指示すると、本当にそのサイズ感で変更を入れてくれます。git diff のレビューが人間の目に優しいサイズに収まるので、私は最終判断者として、品質の番人に徹することができる。

公開前チェック──Core Web Vitals の改善まで踏み込める

つい先日、自社サイトの PageSpeed Insights のスコアが芳しくなかったので、レポート画面のスクリーンショットをそのまま渡して「これを改善して」と頼みました。画像の WebP 化、Google Fonts の非同期ロード、キャッシュ設定、JavaScript の defer──これらを一気通貫で対応してくれて、私は最終確認とブラウザテストだけに集中できました。数年前であれば、このレベルの横断的な改善は丸一日仕事だったはずです。

それでも他のモデルを使う場面

念のために書いておくと、Claude が「すべてにおいて一番」という話ではありません。私の使い分けは今こうなっています。

  • ChatGPT:音声でのブレスト、画像生成、カジュアルなリサーチ、日常的な壁打ち
  • Gemini:Google 検索と組み合わせた最新情報の確認、Workspace 連携
  • Claude / Claude Code:コード、長文読解、設計、文章の仕上げ、実務の主戦場

ツールはそれぞれに得意分野があります。重要なのは「何に信頼を置くか」を自分の肌感覚で決めること。ベンチマークは参考情報にはなっても、最終決定の材料にはなりません。

小さな Web 制作会社は、これから AI とどう付き合うか

「AI に仕事を奪われる」という議論が今もメディアを賑わせていますが、現場の感覚としては少し違います。奪われるのは「雑な仕事」であって、丁寧な仕事の価値はむしろ上がっている。AI の出力を最終的に判断できる人、お客様の本当の課題を聞き出せる人、デザインの哲学を持っている人──こうした人に仕事が集まる流れは、今後ますます加速するはずです。

私たちのような小さな会社にとって、AI はむしろ追い風です。これまで大手でないと抱えられなかった「一人で複数の専門領域をまたぐ仕事」が、ようやく小さなチームでも現実的に担えるようになってきた。オルクテックが「一人の担当者が企画から公開・運用まで一貫して伴走する」というスタイルを貫けているのも、この追い風に背中を押されている部分が大きいです。

おわりに──ツールが変わっても、大事なことは変わらない

AI モデルの勢力図は、これから先もきっと何度も塗り替わります。今日 Claude の時代だと書いたこの記事も、半年後には古びているかもしれません。それでいいと思っています。

変わらないのは、「誰のために、何を、なぜ作るのか」を言葉にして、丁寧に形にしていく仕事そのものです。道具がどれだけ進化しても、その問いを立てるのは人間の側。私たちは、その問いに真剣に向き合い続ける Web 制作会社でありたいと、今はそう思っています。

もし、あなたの会社の Web サイトを「AI 時代に合わせて見直したい」とお考えであれば、気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。どんな小さな疑問からでも、一緒に整理させていただきます。

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